「門」夏目漱石 (ネタバレ)

 親友である安井を裏切り、御米と結ばれた宗助。神経衰弱になりながら御米と仲良く暮らしている。裏に住む坂井のところに安井が滞在する予定であることを聞いて、禅寺へ行く。悟りを開くことを諦めて家に帰ると、安井はすでに坂井の家から出発していた。

 宗助と御米が裏切りから始まった仲だとしても、仲良くお互いを必要としていて良いなと思った。夏目漱石は読みやすい。

 最後抜粋

 御米は障子の硝子に映る麗かな日影をすかして見て、

「本当に有難いわね。漸く(ようやく)の事春になって」と云って、晴れ晴れしい眉を張った。宗助は縁に出て長く延びた爪を剪(き)りながら、

「うん、然し(しかし)又じき冬になるよ」と答えて、下を向いたまま鋏を動かしていた。